2016年11月27日日曜日

2016年12月4日 午前10時30分
待降節第2主日礼拝(No36
     司式 高岸 泰子
    奏  黙 想       奏楽 内山 央絵
招  詞  93-1-11
讃 美 歌  242(12節) 
主の祈り  (93-5A) 
交読詩篇  詩編90・1~17(着席のまま)
讃 美 歌  236
聖書朗読  イザヤ書9・1-6
Ⅰテサロニケ書2・1-18
祈  祷
讃 美 歌  409
説  教  「いとおしい兄弟たち」
      戒能 信生牧師
祈  祷
讃 美 歌  405
使徒信条  (9341A
献  金   対外献金(熊本・大分地震被災教会のために)   新木 裕
報  告
頌  栄  83
派遣・祝福
後  奏         
 
【本日の集会】
・教会学校(9:00)お話し・戒能牧師、奏楽・内山央絵
・礼拝後、お茶の会

・定例長老会

2016年11月24日木曜日

牧師の日記から(85)「最近読んだ本の紹介」
藤田一照・永井均・山下良道『仏教30を哲学する』(春秋社)従来の伝統仏教を10、瞑想を中心とするテーラワーダ仏教を20、そして著者たちの主唱する新しいタイプの仏教を30とする。行き詰まった伝統仏教を、南アジアの瞑想型仏教と欧米で流行っている禅を中心としたスピリチャル系の方法を重ねあわせて復興しようとする人々の問題意識や感覚を伺い知ることができる。しかしそこで熱心に論じられている「マインドフルネス」とか「青空としての私」といった言葉は、正直に言えば私にはどうもピンとこなかった。意地悪く言えば、例えばオウム真理教のような逸脱をどのように遮断するのかという問題意識はほとんど見られない。しかしこれが新しい仏教の模索の一つではあるようだ。
青木直己『幕末単身赴任下級武士の食日記』(ちくま書房)紀州藩の下級武士が幕末期に江戸に単身赴任した際に書き残した日記から、当時の食生活の実際を紹介したもの。実によく酒を飲み、旅先での名物や菓子類を盛大に食している。それにしても主人公の職務が、「膳奉行衣紋方」というのだから恐れ入る。つまり正式な衣装の着方を指導するのが仕事だったというのだ。日記の中に、この職務についての疑問や葛藤はみじんも見られない。現在でも和服の着付け教室があるくらいだから笑えないが、同時代の勤王の志士たちの意識とは大違いではある。
アン・レッキー『叛逆航路』『亡霊西域』(創元SF文庫)ヒューゴ賞やネピュラ賞など英米のSF文学賞を総なめにしたという本格SF長編小説で、アメリカの女性作家のデビュー作だという。人工知能の発達によって、人間の躯体を自由に利用できるようになった未来社会の在り様が描かれる。久しぶりにハードSF小説を読んだが、ここにも一種の行き詰まりがあるように思った。例えば原発問題に象徴されるような近代科学のアポリアの中で、未来社会の構想自体が困難になっているのはないか。それにしてもこの邦訳題名の陳腐さは何とかならないだろうか。
六角幸生『命あるかぎりボーカリスト』(小学館スクウェア)オリーブの会で「私とジャズ」を紹介してくれた渡辺均さんの歌の師匠にあたる六角さんの自伝。この国の指導的な教会音楽家だった奥田耕天の甥として、またクリスチャンで音楽一家に生まれた六角さんが、フォークグループからアメリカのスタンダード・ナンバーに惹かれて行った歩みが興味深かった。つまりビートルズやロックの方向ではなく、ペリー・コモやアンディ・ウイリアムズを介して、ジャズ・シンガーとして歩んだ人なのだ。そしてその根底に讃美歌があったというのが興味深い。

アーシュラ・ル・グウィン『ファンタジーと言葉』(岩波現代文庫)『ゲド戦記』の作者であるル・グインの自伝的エッセイ集。実はル・グインの両親は、アメリカの著名な文化人類学者で、ネイティブ・インディアンたちとの交友があった。彼女のファンタジーの根底に、そのような両親の異文明との出会いがあることを見抜いたのは鶴見俊輔さんだが、この本でも、幼少期に出会った「インディアンのおじさん」たちとの交友が紹介されている。(戒能信生)

2016年11月20日日曜日

2016年11月27日 午前10時30分
待降節第1主日礼拝(No35
     司式 荒井久美子
    奏  黙 想       奏楽 釜坂由理子
招  詞  93-1-11
讃 美 歌  242(1節のみ) 
主の祈り  (93-5A) 
交読詩篇  詩編89・1~52(着席のまま)
讃 美 歌  241
聖書朗読  イザヤ書11・1-10
祈  祷
讃 美 歌  235
説  教  「狼は小羊と共に宿り」
      戒能 信生牧師
祈  祷
讃 美 歌  371
使徒信条  (9341A
献  金             柴田哲子
報  告
頌  栄  83
派遣・祝福
後  奏         
 
【本日の集会】
・教会学校(9:00)お話し・橋本悠久子、奏楽・戒能直子
・礼拝後、アドベント全体祈祷会(司会・荒井眞)
・週報等発送作業

200 故・齋藤晃子納骨式(小平霊園)

2016年11月17日木曜日

牧師の日記から(84)「最近読んだ本の紹介」
渡辺京二『父母の記』(平凡社)『逝きし世の面影』で知られる著者は熊本在住の作家だが、『読書新聞』の編集者時代の吉本隆明や橋川文三との交友が掲載されているというのでこの本を手にした。ところが驚くべきことに、収録されている別の文章に大連西広場教会のことが出て来るのだ。渡辺さんは1930年生れで、大連朝日小学校から大連一中に進み、その在学中に15歳で敗戦を迎えている。そしてコミュニスト少年として大連日本人引揚対策協議会で活動していたというのだ。しかもその中山地区協議会の事務所が西広場教会に置かれていて、日本人の隠匿物質の摘発や密航者の糾弾大会の様子が紹介されている。この夏、大連からの引き揚げ体験を話してくれた教会員の荒井久美子さんたちとは全く逆の立場の経験が描かれているのだ。本書に掲載されている西広場教会の写真を見ながら、何とも複雑な想いがした。大連における敗戦体験はかくのごとく多様で重層的なのだ。
辻惟雄『若冲』(講談社学術文庫)最近ブームになっている伊藤若冲について図録満載の文庫本が出たので読んでみた。若冲は江戸中期の京都画壇で活躍した特異な絵師で、現在宮内庁に収蔵されている動植綵絵を初め、鶏の細密な絵で有名。羊子に若冲の画集を見せてくれと頼むと、出て来るわ、出て来るわ!『生誕300年記念若冲展図録』(日本経済新聞社 2016年)、『別冊太陽 若冲百図』(平凡社、2015年)、辻惟雄編『若冲の花』(朝日新聞社 2016年)、『若冲が来てくれました プライスコレクション』(日本経済新聞社 2013年)、『芸術新潮 特集若冲』(新潮社、2015年)、『Pen 至上最強の天才若冲を見よ。』(CCCメディアハウス、2015年)、『美術手帳 特集伊藤若冲』(美術出版社、20155月号)、『同い年の天才絵師 若冲と蕪村』(読売新聞社、2015年)、等々。おまけにNHKBSの『若冲特集』のDVD120分)まで見せられて、なんだか若冲漬けの日々になった。おかげで自分が今抱えている仕事は全く停滞してしまったが、若冲の世界を堪能することができた。それにしても江戸中期にこのような画家が現われ、高価な画材を思い存分使って活躍し、しかもその作品がこれほど数多く残されているのも珍しい。

ジョン・ル・カレ『われらが背きし者』(岩波現代文庫)『寒い国から帰って来たスパイ』で有名なル・カレの小説は、ほぼ目を通して来たはずだ。007ジェームズ・ボンドなどが活躍する冒険活劇小説と異なり、冷戦構造の中での情報部員の心理に深く分け入ってその非情な世界を独特の仕方で描く作家として知られている。ベルリンの壁が崩壊して以降、スパイ小説の大半はリアリティーを失ったと言われるが、ロシアン・マフィアのマネーロンダリングの世界を舞台に、しぶとく生き延びる新しいタイプのエスピオナージ小説と言える。ただし、凡百のノン・ストップ・リーディング物と違って、読み難いことこの上ない(意図的にそうしているのだろう)。しかしル・カレの小説が岩波書店から刊行されるとは、彼をこの国に初めて紹介した早川書房の編集者・常盤新平さんが生きていたら、どのような感想を呟かれるだろうか。(戒能信生)

2016年11月13日日曜日

2016年11月20日 午前10時30分
収穫感謝合同礼拝(降誕前第5主日)(No34
     司式 常盤 陽子
    奏  黙 想       奏楽 釜坂由理子
招  詞  93-1-1
讃 美 歌  8 
主の祈り  (93-5A) 
交読詩篇  詩編88・1~19(着席のまま)
讃 美 歌  209
聖書朗読  申命記11・8-12
Ⅰテサロニケ書1・2-10
祈  祷
子どもの祝福
讃 美 歌  458
説  教  「主に倣う者」
      戒能 信生牧師
祈  祷
讃 美 歌  402
使徒信条  (9341A
献  金             柴田長正
報  告
頌  栄  24
派遣・祝福
後  奏         
 
【本日の集会】
・教会学校(合同礼拝に合流)
・礼拝後、礼拝後オリーブの会「ジャズと私」渡辺均 伴奏・内山央絵(軽食の用意があります)

・個人写真撮影会(野口倢司)
牧師の日記から(83)「最近読んだ本の紹介」
橋爪大三郎・大澤真幸『元気な日本論』(講談社新書)気鋭の社会学者が日本の歴史を縦横に論じ合った対談集。橋爪さんが準備した日本史に関する素朴な疑問を手がかりに、大澤さんがコメントする仕方で進行する。「なぜ日本の土器は世界で一番古いのか」「なぜ日本には青銅器時代がないのか」「なぜ日本に天皇がいるのか」といった切り口から、「眼から鱗が落ちる」ような議論が次々に展開される。但し、近世史になってくると、儒教の評価などについての議論が錯綜して分かりにくくなる。しかし歴史学の専門家が見落としているような論点が次々に取り上げられて、なかなかスリリングな読み物となっている。
袖川裕美『同時通訳はやめられない』(平凡社新書)教会員の常盤陽子さんがこの国の同時通訳者の草分けのお一人であることもあって、手に取って興味深く読んだ。国際会議の際のブースからの同時通訳だけではなく、放送通訳や、首脳外交などの場合の耳元での囁き通訳など、想像していた以上に奥が深い世界だ。ほとんど職人芸とも言うべき同時通訳の世界を、ご自身の体験から面白おかしく紹介してくれる好著。経済学や科学諸科、あるいはスポーツから芸術の世界まであらゆるジャンルを扱うので、専門用語などその予習というか準備が大変だということも教えられた。国際会議などで何度か同時通訳のお世話になっていつも隔靴掻痒の感じがしていたが、通訳者のご苦労を改めて知らされる思いだった。
黒柳徹子『トット一人』(新潮社)故・斎藤晃子さんの遺品の中からたくさんの書籍がバザーに献品されたが、その中にこの本を見つけた。『窓際のトットちゃん』の続編で、向田邦子、渥美清、森繁久弥、沢村貞子など、交友のあった人々の交遊録と思い出が生き生きと書かれていて、感銘深く読んだ。この国のテレビの草創期の時代から芸能界に生きて来て、これほど純粋でぶれない歩みを続けた人も珍しい。身贔屓かも知れないが、黒柳さんがクリスチャンの家庭に生まれ、幼児洗礼を受け、教会学校に通っていたことも無関係ではないと思わされた。
二宮敦人『最後の秘境 東京芸大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)著者の夫人が芸大の彫刻科に在籍していて、そのツテで現役芸大生たちにかなりディープなインタビューをしている。話には聞いていたが、特に美術系の芸大生たちにまつわる伝説や裏話が面白い。いつも美術展に行く度に思うのだが、こんなにたくさんのアマチュア画家たちが熱心に絵を描いている国は、他にないのではないか。平和で豊かなこの国を象徴しているとも言える。

五木寛之『運命の足音』(幻冬舎)これは、印刷室に並べられている教会の図書の中に見つけた。若い時はこの著者の小説を愛読したものだが、最近はあまり目を通さなくなった。著者は戦前教師であった父親と共に朝鮮に住んでいた。その朝鮮での敗戦と母親の死、そして引き揚げの痛苦な体験が率直に書かれている。引揚者の心情がどのようなものであったのか、戦前の外地にあった邦人教会の歴史を調べていることもあり、興味深く読まされた。(戒能信生)

2016年11月5日土曜日

牧師の日記から(82
1030日(日)主日礼拝。創世記35章の講解説教。族長ヤコブのその後の日々を取り上げる。ここには、家族のスキャンダルや息子たちの非行、そして乳母デボラの死、最愛の妻ラケルの出産直後の死などの一族の不幸が次々に報告される。そのような家庭的不幸においてヤコブはほとんど無力な姿を露呈する。あの智謀に富み猛々しかった若きヤコブの姿はもはやない。しかしヤコブは、ベテルへの巡礼と、生まれて来た子どもを「ベニヤミン(幸せの子)」と静かに言い直していく姿勢に立ち尽くす。老いた晩年のヤコブの姿は示唆的である。礼拝後、直ちに会場作りをしてバザーが始まる。天候にも恵まれ、地域の人々や隣の東京教会の人たちも来てくれる。私は駐車場でイカやホタテを焼くのにかかり切りだった。終了後、東駒形教会から酒井牧師たちが売れ残りの献品を引き取りに来てくれて助かる。夜、前橋の老人施設に入所していた牧浦一司さんが91歳で逝去されたとの連絡が入る。かねて相談していたように、前橋中部教会の堀江知己牧師の司式で葬儀をしていただくことになる。その相談の電話のやり取りが続く。
31日(月)午前中、東駒形教会での月曜会の例会に出席。今井敬隆牧師のヨブ記の説教集を取り上げる。午後帰宅して、バザーで使用したバーベキュー台の片づけと網などの清掃。これが結構厄介なのだ。直子さんも後片づけに忙しそうだ。夜は日本聖書神学校の授業。この日は高倉徳太郎を取り上げる。
101日(火)この日は一日在宅で、午前中は富坂キリスト教センターの会報の原稿を書き上げてメールで入稿。午後は「キリスト者平和ネット」の連載コラムの校正、次週の長老会のアジェンダ作り、「戦責告白50年資料集」の編集整理の仕事などを続ける。バザーの後遺症なのか腰が痛む。しかし教会員のほとんどが私よりも年配なので、弱音を吐いてはいられない。
2日(水)聖書を学ぶ会・祈祷会。出エジプト記の910章を取り上げる。沓掛学荘に4日の職員礼拝の聖書と讃美歌の箇所をメールで連絡。
3日(木)新幹線の高崎駅で下車、両毛線に乗り換えて前橋駅へ。タクシーで前橋中部教会に行き、故・牧浦一司さんの告別式に参列。ご婦人の綾子さん、ご長男の晃司さんに挨拶することができた。弟に当る牧浦昇牧師(大阪常盤教会)も来られていて初めてお目にかかる。88歳で関西では現役最高齢とのこと。火葬場で会食をする。その後、堀江牧師の車で高崎駅まで送ってもらい夕方帰着。

4日(金)8時少し前の新幹線で軽井沢へ。晴天で車中から富士山がよく見える。10時から興望館沓掛学荘の職員礼拝で奨励。現在の養護施設の悩みや葛藤の一端を職員たちから聞かされる。様々な重荷を負った子どもたちを養育して現代社会に送り出さねばならない労苦に頭が下がる。昼食をいただいた後、追分の保志治子さん宅を訪ねる。お土産は直子さんが造ったイチジクのジャム。しばらく治子さんと音楽や文学について楽しくおしゃべりする。紅葉の真っ盛りで浅間山は初冠雪の名残が少し残っている。晩秋の軽井沢を満喫する。(戒能信生)