2015年8月8日土曜日

牧師の日記から⑱「ナザレ修道会のこと」
834日、三鷹にあるナザレ修道会で過ごしました。『時の徴』編集同人の研修会がここで行われたからです。『時の徴』は、1977年から刊行されている同人誌で、私はその創刊時からの編集同人の一人です。日本基督教団の混迷の中で、「戦争責任告白」を継承し、この国のプロテスタント教会のあるべき姿を求めてささやかな活動を続けてきました。季刊『時の徴』の刊行が活動の中心です、現在では全国に500人ほどの定期購読者がおり、私が事務局の責任を負っていることもあって、長老会の了解を得て、この千代田教会に発行所を置かせてもらうことになりました。

ところでこのナザレ修道会は、日本聖公会に属する女子修道院です。プロテスタントである聖公会に修道院があるのかと不思議に思われるかもしれませんが、生涯独身の終世請願を立てた修道女たちが、この修道院で祈りの生活を続けています。井之頭公園の一画に続く鬱蒼たる森に囲まれたこの小さな修道院は、黙想会などのプログラムがない時、外部にも開放されて利用できます。冷暖房完備の22室の個室があり、研修室や風呂などの設備が整い、修道女たちの手作りの簡素な食事も用意されます。便利な場所にあることや利用料が比較的安価なこともあって、時折この施設をお借りして来ました。この修道院では毎日7回の礼拝が行われます。私たちも朝7時から行われるミサに参加しました。わずか数名の年老いた修道女たちによって守られるミサ、そこに私たちも加わって共に聖書を読み、祈りの時をもち、ミサに預かります。世界の平和のために、そして世界の各地で続けられている教会の働きを覚えて、一緒に祈りました。世界の各地で内戦やテロが続き、この国でも武器輸出三原則の撤廃や秘密保護法の成立、さらに集団的自衛権の解釈変更による実質的な改憲が政府によって押し進められています。もちろん抗議や反対のデモや署名活動も必要です。しかしこの静かな修道院で毎朝、世界の平和のために修道女たちが祈り続けていることによって、世界の平和が支えられていることを改めて実感しました。諦めないで、希望を失わないで、平和のために祈り続けることの大切さを教えられ、しばしの休息と実り多い学びの時をもつことができました。(戒能信生)

0 件のコメント:

コメントを投稿