2015年7月18日土曜日

牧師の日記から⑭「週報の兄姉問題」
先週から「週報」の氏名の記載の仕方を変更しました。礼拝の司式者や奏楽者、受付当番の担当者等のお名前に付けられていた「兄・姉」が省かれたのです。長老会で話し合って、教会員のお名前はフルネームで記し、「兄・姉」は付けないことにしたのです。
多くの教会で、この「兄・姉」が広く用いられてきました。どうして教会では名前の後に「兄・姉」と付ける習慣が生まれたのでしょうか。第一の理由は、キリスト教会で教会員同士がお互いに「兄弟」「姉妹」と呼び合う古くからの麗しい習慣があったことが挙げられます。第二に、この国のプロテスタント教会がお手本にして来たアメリカの教会の、氏名の前に敬称としてMr. Mrs. Missを付ける慣習に倣ったという説があります。そして第三に、謄写版などで週報を印刷する際、フルネームを記載するスペースを節約するため、姓だけに「兄・姉」を付して区別したという事情があるようです。しかし現在では、ほとんどの教会でこの「兄・姉」は使用されなくなっています。アメリカの教会でも、Mr. Mrs. Miss.は用いられくなっています。敢えて性別を付すことに対する拒否感、さらに女性にだけ結婚しているかどうかの明示を求める慣習への批判があったようです。またPCによるワードプロセッサーの普及によって、氏名をフルネームで表記するようになり、敢えて「兄・姉」をつける必要がなくなったこともあります。そしてもう一つ、性同一性障害のケースなどで「兄・姉」を付けることがふさわしくないと考えられるようになったこともあるようです。

以前仕えていた東駒形教会で、実際にこういうことがありました。その教会では、千代田教会と同じく、礼拝に出席した人が受付でそれぞれのお名前を記入する方法が採られていました。但し、男性は左の欄に、女性は右の欄に名前を書く習慣でした。記録を残す際に、男女別の出席者数を報告する必要があるからです。ところがある年のクリスマス礼拝に一人の若者が出席して、受付の礼拝出席ノートの前で立ちすくんでいました。気がついて声をかけると、どちらに書いたらいいか分らないと言われるのです。後でその方が性同一性障害だったことが判りました。こうなると、男女別の出席人数を算出すること自体が問題になります。悩ましい問題ではあります。(戒能信生)

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