2015年6月20日土曜日

牧師の日記から⑪
618日(水)の聖書を学ぶ会が終わって、午後から野口倢司さんと二人で、所沢中央病院に奥井清さんの見舞いに行きました。あのお元気だった奥井さんが、半身不随でベッドに横たわっている姿は痛々しく、胸を突かれます。付き添っておられるお嬢さんの西岡真理さんの話によれば、今週になって容体は落ち着き、安定して来ているとのことでした。先週から、ご家族が夜は泊まり込みの体制を続けていたのですが、この様子なら当面その必要はないとのことです。ローズンゲンの今日の聖句を読み、耳許で祈りました。奥井さんは話すことはできないのですが、こちらのことは分かっている様子で、小さく「アーメン」と応えてくれました。また来ることを約束して、20分ほどで失礼しました。
このところ週に一度は所沢に通っているので、西武池袋線に毎週乗ります。曙橋駅から都営新宿線に乗り、隣の新宿三丁目駅で副都心線に乗り換えます。すると乗り換えなし、37分で所沢に着くのです。とても便利です。

実は、立教の学生だった時期、私は清瀬に、直子さんは石神井公園に住んでいたので、西武池袋線は私たちの懐かしい思い出の路線でもあります。高架になった40年ぶりの電車から見える風景はすっかり変わっていて、各駅舎も新しくきれいになっています。たまたま原武史(明治学院大学教授)さんの『レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史』(新潮文庫)が文庫化されたので目を通しました。「レッドアロー」は言うまでもなく西武線の特急電車の愛称、「スターハウス」とは私も短期間住んだことのあるひばりが丘団地の星形モデルハウスのことです。つまりこの西武線沿線の形成史から、戦後思想史を読み解こうという趣向です。ご自身がひばりが丘団地、滝山団地の出身で、鉄道オタクでもある天皇制の研究者・原さんならではの意欲的な切り込みで、その博覧強記ぶりに改めて驚かされます。「理想の時代」(見田宗助)が終わり、「不可能性の時代」(大沢真幸)になったと言われる現在、国会では安保法制が議論されています。再び戦争ができる国にしようとする政権が国民の支持を得ている今の時代、私たちキリスト者の使命と責任を覚えさせられています。(戒能信生)

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