2015年5月10日日曜日

牧師の日記から④ 2015年5月10日

牧師の日記から
 先日、近くの郵便局に行こうと自転車で走っていると、津の守坂の途中で「アラ、先生」と声をかけられました。たまたま通りかかった教会員の野口洋子さんでした。挨拶をして別れた後、こちらが気がつかなかったのは、まだこの近隣では、自分を知っている人がいないと思い込んでいたからだと思い当たりました。
前任地の東駒形教会には、併設して園児150人の保育園がありましたし、同じ建物の5階には児童館や学童クラブもありました。ですから朝早くから夜7時頃まで子どもたちの声が絶えず、賑やかでした。おかげで近隣の人たちに私も顔を知られるようになりました。子どもたちに礼拝でお話をするほか、入園式や卒園式、クリスマス会などの度に、牧師として聖書のお話をしたり、祈りをしなければならないからです。そうすると、地域ではうっかりしていられません。道を歩いていると、突然頭上から「ぼくしせんせー」という子どもの声。見上げると、マンションの三階から園児とお母さんが手を振っています。近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら週刊誌を捲っていると、突然園児の一人が「先生、何読んでるの」と飛びついてきます。喫茶店の奥にお母さんたちがいることに、気がつかなかったのです。要するに前任地では、地域の多くの人が自分のことを知っている、そして見られているという意識があり、ある種の緊張感がありました。

千代田教会に転任して、併設する施設もなく、地域に知っている人はだれもいません。「都会の孤独」というと大袈裟ですが、知られていない者の自由さを満喫していたのです。しかしそうは言っていられなくなったようです。連休が明けて、朝早く、直子さんと二人で、咲き始めた薔薇の芽摘みや剪定をしていると、通りかかる近隣の人たちが次々に声をかけてくれます。それだけではありません。同じ坂町の四谷駅寄りにYMCA同盟の事務所があり、総主事の島田茂さんを初め、顔見知りの職員たちに道で行き交うことがしばしばあります。桜美林大学の建物には、キリスト教学校同盟の事務所が入っており、顔見知りの職員と顔を合わせます。つまり早くも、この地域で顔見知りが増えて来て、緊張感が増しつつあります。ちょっと残念な気もしますが、他方で千代田教会の牧師になりつつあるのだなあと思わされています。

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