2015年5月24日日曜日

牧師の日記から⑦ 2015年5月24日

牧師の日記から
先週の水曜日の午後、名誉牧師の松野俊一先生御夫妻を、柏市西原のご自宅に訪ねました。1時間少しで行けると思っていたら、1時間40分かかり、約束の時間に大幅に遅れてしまいました。以前住んでいた東駒形教会から柏までの距離感覚が残っていたためです。ヤスコ夫人が、美味しいケーキを用意して待っていて下さり、たっぷり2時間、いろいろなお話を伺うことができました。
いくつか質問を用意して行ったのですが、その一つは松野先生の創世記の講解説教についてです。一読して、Gerhard von RadのATDの創世記註解を参考にしておられることが分かります。名著の誉れ高いラートの創世記註解は、多くの説教者が参考にしています。しかし松野先生の読み方は、単に参考にしているという体のものではありません。頭から齧り付いて、ラートの旧約理解を根本から飲み込み、それを咀嚼してご自身の説教の中に見事に組み込んでいるのです。創世記の講解説教はいくつも刊行されていますが、これほどラートの釈義に踏み込んで摂取している説教集は他にないと思います。まだ邦訳がない時期、先生はATDの英訳を読み込んで説教準備をしたそうです。説教箇所の註解を読みこなすのに、何日もかかったと言われていました。しかしもう一つの驚きは、この難解で高度な講解説教を聴いた教会員の理解力です。大連日本基督教会時代の出身神学生であった故・吉田満穂牧師が、松野先生の説教を評して、「千代田教会の教会員は幸せだ」と言われたという神話?が伝えられていますが、さもありなんと思わされました。

千代田教会に赴任して2か月近くが経ちますが、印象のひとつは、教会員の皆さんが説教をよく聴くということです。み言葉を聴く姿勢が整えられていると言ってもいいかもしれません。松野先生たち、この教会の歴代の説教者たちによって鍛えられ、整えられたのだと思います。いよいよ緊張感をもって、説教の準備に当たらねばならないと思わされています。(戒能信生)

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