2015年4月19日日曜日

牧師の日記から① 2015年4月19日

牧師の日記から
 417日(金)の夜、富坂キリスト教センターで池明観先生を囲む会「北東アジアの状況について語る」が行われました。私はその司会の役割を負っていましたので参加して来ました。50名ほどの限られた集まりでしたが、とても印象的な集会でしたので、ごく簡単な報告をします。池明観先生は、1970年代の半ばから始まった韓国民主化闘争において、雑誌『世界』に「TK生」の筆名で、「韓国からの通信」を15年にわたって書き綴った韓国人キリスト者です。民主化のための韓国教会や民衆・学生たちの戦いのドキュメントが、様々な手段で日本に持ち込まれ、それがTK生の筆によって世界に発信されて行きました。そして日本の教会は、その働きを支えることが出来たのです。私は当時まだ駆け出しの牧師でしたが、その活動のほんの小さな末端を担うことが出来ました。それは、本当に貴重な体験でした。戦前の日本の侵略の歴史を知るアジアの教会は、戦後も日本の教会を心から受け入れようとはしませんでした。1967年に出された教団の「戦争責任告白」によっても、その関係は必ずしも好転しなかったのです。それが、韓国民主化闘争支援を日本の教会が担うことによって、以降、韓国のみならずアジアの教会との交流が深められていくことになります。

 この集会では、1971年生まれの李泳采さん(恵泉女学園大学教授)による「日韓国交正常化50年 今我々に問われている真の市民連帯とは」という発題(これもなかなか刺激的なスピーチでした)を受けて、91歳になる池明観先生が応答されました。それは、現在の膠着状態に陥っている日韓関係や北朝鮮との対応、さらに北東アジアの未来に向けて、大きな視野に立つ希望に満ちた提言でした。確かに現在は、日本の現政権の保守化や、中国の台頭などによって、明るい未来は開けそうに見えないけれども、希望を失ってはいけない。そのために教会は「境界線に立ち続けながら」、和解の使命を担っていかなければならないというメッセージでした。集会には、キリスト者だけでなく、NHKや各新聞社の記者も参加していましたが、久しぶりに熱気あふれる、そして困難の中でも希望を語り合う集まりでした。短くその報告を紹介しました。

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